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現時点で「か行」のログをひとつも移行してないな、と思って探したら一番に目についたのがこれでした。おおゲイリーたんマジック!
フィリップ・K・ディック原作「にせもの」映画化。主演・ゲイリー・シニーズ。これを観ずして何とする!と、劇場に駆け込んだあの日の記憶。ゲイリーたん主演なんて今度いつあるかどうか!!と甚だ失礼なことを思っての所業でした。(そうしたらCSI:NYが来て(ドラマだが)嬉しい悲鳴を上げることになるのだが)
ディックといえば『ブレードランナー』『トータル・リコール』。前者はストーリーは原作と全然違ってたけど、世界は非常にディック的な名作だと思う。後者は主演のせいかお陰かアクション娯楽大作になり、途中までストーリーを踏襲しているもののラストの味わいが全然違うものに。これはこれでいいと思ってるけど。正に違う意味でふたつとも「映画は映画、原作は原作」だった、かな?と。
その点、ある意味この作品は一番忠実に映画化してるんじゃないかな。(「スクリーマーズ」(原作「変種第二号」)は原作の方が断然好きだ…どう考えてもアレは文字の勝ちだろう)
あらすじ>>>
近未来。異星人ケンタウロスと軍事衝突を繰り返す地球人は、青い空と豊かな大地の大半を失い、ドームの中で暮らしていた。爆弾兵器の開発に携わる科学者スペンサーと被災者の救護に追われる医師マヤの夫妻は、仕事に忙殺される生活に加え互いの立場の違いから、関係にひびが入りかけていた。その日もいつものように職場に向かうスペンサーの前に、特殊部隊ESAのハサウェイが現れる。強制的に連行されたスペンサーにハサウェイが衝撃的なことを告げる。実はスペンサーという“人間"はすでに殺されており、現在のスペンサーはケンタウロスが作った精巧なレプリカントで、体内に隠された爆弾で政府要人を殺そうとしている、と…。
[オススメするタイプ]
・ゲイリーファン(薦めなくても観てるな)
・SF設定が好き
・もやもやとした感覚が残る映画、嫌いじゃないんだぜ
[オススメできんタイプ]
・SFならアクション!超能力!ド派手に!!
・白黒はっきりつけてくれ
近未来、地球と戦争中の異星人が送り込んだ人間爆弾の容疑をかけられた男、スペンサー。「俺は本物だ!」と言っても誰も信じてくれない。何故なら人間爆弾は見抜かれないために本物のスペンサーとまったく違わず作られ、「自分は本物」とインプットされているから。このままだと処分されちゃうぞ!大変だ!そうだ、 自分の容疑は自分で晴らすんだ!21世紀に『逃亡者』が甦る!!(違います)
というわけで、とにかくゲイリー・シニーズ。逃げる殴られる逃げる追われるちょっと反撃逃げる逃げるで、もう常にスクリーンに登場。 最早プロモ!(主演だからだよ)少しばかり額が広くなってようと構わないよゲイリーたん…!と、最初から最後までゲイリーたんにハァハァできる映画。ごめん、ゲイリー大好きなんだ僕。つまり裏を返せばゲイリーファン以外に見所はないのか?とかんぐりたくなるお方、ご安心あれ。
ディック原作の作品は、同時期にもうひとつ公開されています。そう、『トム・クルーズのマイノリティー・レポート』―――枕詞に名前を思わずつけてしまうほど、やっぱりトムトムしい映画。監督派手、主演派手、宣伝派手!と向こうが一人勝ちの様相でしたが、しかしディック原作である以上、こちらの勝ちだと思うのだ。
真新しい描写はない。度肝を抜く展開でもないし役者も地味かもしれない。でも、実に手堅く堅実に、ディック世界を構築している良作。見逃してしまうのはもったいないぞ!乱暴に言ってみれば『マイノリティー・レポート』は『トータル・リコール』と同じ系列で、これは『ブレードランナー』ってところか。
しかしゲイリーたんは相変わらず小さいのに体格イイなぁ!何でこんなにこの人ってば典型的巻き込まれ型主人公が似合うんだろ(愛)苦悩顔ベスト3に入るね!(後2人は誰だよ)
ゲイリーたんを追い詰めるヴィンセント・ドノフリオもイイぞ!彼を好きになったのは『ニュートン・ボーイズ』でなんだけど、こう、"コワモテなんだけど気のいいあんちゃん"も演じられる顔が"マジでコワイ狂気顔"になる演技がたまらん。しかし彼演じるハサウェイ、10人(だっけ)クローンと人間を間違えて殺したってちょっと確率良すぎ。もうちょっとケンタウリ語を勉強したほうがいいと思うよ、ボク。まず容疑者を捕まえる前に深呼吸だ。
ゲイリーたん演じるスペンサーの妻、マヤ役のマデリーン・ストウ。御年40代。マジっすか!?何だかものすごく若いイメージがあったのでかなーり吃驚。そうか、考えてみれば『12モンキーズ』の時に30代…は普通だよな。あれ何で?と思って考えてみたら、何故だかグレッチェン・モルと勘違いしてた可能性が濃厚なんですけど。どっちにせよ美しかね。
もう一人重要な登場人物、スペンサーと行動を共にすることになる黒人青年、ケール。彼もイイ味出してます。味方が敵になった逆転世界で、敵か味方かわからない異端者の相手。コミカルな部分も見せつつ、決してスペンサーと親しくなりすぎず、でもラストの台詞は重い。
「(知り合いだと)そう思いたい。」この台詞で『クローン』の色が決まったような。
でも私が好きな台詞は、薬の山を見ての「今日初めていい気分」です。ラブリーだぜケール!
クライマックスは原作とちと違う。展開読めるけど、それでも秀作。ゲイリーたんあんまり近未来似合わないんだけど(致命的じゃないのか)でもでも、良作。SF設定が嫌いじゃないなら一度は観るべし。
このクライマックスがハッピーエンドの似た系統の話、あったと思うんですがどなたか知りませんか。