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映画の徒然メモ。他サイトでのログを移植中
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何と言うか、本当に久々に完全満足と言える映画を観た。
良かったんだよ、観ろよ!と言って回るのではなく、良かったんだよスゲー良かったんだよ、あれが観られて私は良かったよ!!と、ただこの嬉し楽しな気分を言って回りたい、この微妙な違い。でも観てほしいなァ。(どっちだよ)
とりあえず暫定的ではあれど、今年度俺デミー賞の最優秀脚本賞ほぼ決定。

とにかく一般(日本)基準からすると地味なので、こりゃ日本じゃ受けねぇだろうなと米国公開時から思っていた。向こうじゃ大絶賛の嵐で超絶観たかったのだが、公開すら危ういと思っていた。(ビデオスルーだとばかり)
そりゃあもう、同じ場所でやっている『バベル』を観に来たお嬢さんが二人、映画館のトイレで「もう一個やってるの何だっけ?超地味だよね?出てる人みんな知らないし、私が映画会社の人だったら絶っっっ対宣伝に困るなー」とにこやかに話していたのも仕方ない映画だ(日本では)。便器に腰かけながら、ナンダヨチクショウバベルの問題シーンで気分悪くなりやがれと思っ←不謹慎。でもそのくらい、日本ではジミーな映画なのだ。

でも良い。良すぎる。なので今日の感想は、ここからも絶賛の嵐だよ。
とにかく出来れば観る人が少しでも増えればいい。そして良さをわかってほしい。そんなお節介精神が初めて発動する映画。

あらすじ>>>
平凡で面白みのない男、ハロルド。国税庁の会計検査官である彼は、過去12年間、毎日決まりきった生活を送っている。しかしある朝、ハロルドの頭の中に、彼の行動を文学的な表現で語る女性の声が割り込んできた。それからというもの、その声はハロルドの頭にたびたび響くようになる。彼女によれば彼はどうも小説の主人公のようで、しかも彼に死が近づいていることもほのめかしていた。それから自分の運命を変えようとするハロルドの奮闘が始まった。

[オススメするタイプ]
・人生はシリアスでかつコメディである、と思う人
・派手より機能美。
・『ネバーランド』演出好き

[オススメできんタイプ]
・映画は派手にドカーンと一発さ!
・美男美女の恋愛じゃなきゃ映画はつまんない
・コメディは体を張って爆笑を掻っ攫うべきだ!


えーと、まず役者が演技派的豪華。知らんと言っていたお嬢さんに(勝手に根に持つなよ)言っておこう。ご・う・か・だ・よ!!!
正に"主人公"であるハロルドに、ウィル・フェレル。今回はオーバーアクションの欠片もなく、ほとんど表情を変えない堅物男を名演。常々上手いコメディアンは頭が良く、演技派であると思うわけだが、この人もそれを実践。だよなァ、そうじゃなきゃSNLとかで真顔のまま客を爆笑させられない。オススメ。
キーパーソンの作家、エマ・トンプソン。上手い。言わずもがなだが、上手い。素敵だ。ノーメイク精神病一歩手前、でも才能がないわけでもなく心がないわけでもない。そんなキャラクターを素晴らしく自然に演じきっている。この自然に、というのがすごいところだ。オススメ。
ヒロインにギレンホールさんちのマギー嬢。スマン、初めてうわぁ可愛いな!と思った。いや、私のうわぁ可愛いな!基準はきわめて偏っていて、世間で美人や可愛いと言われるのはわかっていても(そりゃ女優だしな)、それだけでは発動せず…すげーブサイクな顔で泣いてたり、ブチ切れて喚いたりしてるシーンを見た時に結構思うのだ。(マギー嬢がそういうシーンを披露してるわけではありません)でもすこぶるキュート。オススメ。
脇を固めるダスティン・ホフマン。最近ようやく上手いと素直に思えるようになった。この人絶対年取ってから(つまり最近)の方がいい。そして助演の方がピカピカ光る。今回も実に計算され尽しているだろう演技で、さり気なく要所要所を締めてくれる。オススメ。

とにかく役者がオススメだらけなのである。
この他、ちまちま出てくる人もいい。ハロルドの友人も、ありがちな役ながら台詞の呼吸と自分の呼吸が合っていて、見ていて非常に自然にオモシロイ。そしてワンシーンだけ出てくるセラピストのオッサン、絶対どっかで見たことあるんですけど…と思って調べたら、『アマデウス』のモーツァルトだった。今の顔の方が味があってとても好きなのだが、年月って…!

だから、オススメなのである。(しつこいほどに)

まず素晴らしいのは脚本だ。そして演出だ。
当たり前のことを書く。映画は脚本・演出・演技がまず目につく。もちろん照明だって音楽だって全部が全部作用し合ってひとつの世界を作るのだが、この三本柱がかみ合っていないとそれはもうわかりやすく酷いことになる。
このストーリーはどれもが素晴らしい。それぞれが引き立て合って、1+1+1…それ以上。足し算よりも、よりプラスを上乗せしまくりだ。脚本と演出が稀に見る幸福な出会いをした映画だと思う。

何だかこれ以上書いても―――まだまだ書けるのが恐ろしい―――褒め言葉の羅列にしかならないような気がする。それほど良かった。オープニングからエンディングに至るまで、画面構成から何から出色の出来。ハロルドの思考をビジュアル的にさり気なく見せるのも素晴らしいが、個人的にはエンディングのスタイリッシュと言うのも恥ずかしいくらいスタイリッシュな、イギリス的デザインの画面が最高。まったくベクトルは違うけれども、こんなに心奪われたのは『セブン』のオープニング以来だよ。(きっと他にもあるが思い出せないだけという説も有力)
イギリスの曲を使いまくった音楽もイイ。劇中でハロルドが歌うシーンも素敵。しかし!エンディングで席を立たずに見ていてほしい。アカペラ風でかかる「Love You」が何とも最後までストーリーに寄り添っていて素敵だから。

にしてもやっぱりイギリス英語はちっとも聞き取れねぇ。
というわけでなかなかこちらもいい仕事をしていたんじゃなかろうか、と偉そうに思う字幕に頼りっ放しだった。それにつけてもいい映画だ。

俳優のところには書かなかったけど、クイーン・ラティファは上手くなってきたよね。あの存在感を自然に出せるようになってきた、そんな気がする。


…で。
ここまで絶賛しといて何ですが、面白くない人には本当につまらない、地味な映画だと思います。まあでも、どんな映画でもそうか。
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