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映画の徒然メモ。他サイトでのログを移植中
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1952年に映画化されたもののリメイク、早い話がトムちんバージョン。と言えど、オリジナルとは違う部分もあるし、そこからイメージしたんだろうなってところもあるし。今回は私見で言うと、オリジナル云々よりも「あの原作をスピルバーグが映画化」って思いが強いが。
しかしいつものことながら、「人類に残されたのは愛と勇気だけ」って人類総ア○パンマン化な宣伝はどうかと思うんだぜ。別に愛も勇気もそんなに主題として迫ってこなかったんだぜ。

あらすじ>>>
異変は、アメリカ東部の町に起こった。立ちこめる暗雲から稲妻がほとばしり、落雷地点が脈打つように震動する。直後、人々の眼に信じがたい光景が映った。地中深くから巨大な三本足の“物体”が姿を現し、人間を手当たり次第に抹殺し始めたのだ。一部始終を目撃した港湾労働者のレイは、別れた妻から預かった息子と娘、ロビーとレイチェルを連れて町を脱出。安全な場所を探して車を走らせるが、“物体”は世界各地に同時多発的に出現していたのだった。人類が初めて体験する宇宙からの侵略。最期の時を前に、人々はただ怯えることしかできない―――。


[オススメするタイプ]
・侵略ものダイスキ!
・原作ファン
モーガン・フリーマンファン

[オススメできんタイプ]
・スピルバーグのダーク部分?何それ。
・うるさい子供嫌いなのよね
・「娯楽大作」でしょ?

まず永遠の白い歯キラリ☆青春野郎なトムちんが、のっけからブルーカラーの港湾労働者。似合わねぇ。別にこの階級の方々を差別するってつもりじゃなくて、トムちんには似合わねぇ。フツーのオヤジが最も似合わない俳優ランキングの永久欠番として(指名者・オレ)こういう役柄は君が演じるだけで説得力ゼロになるのを理解すべきだトムちん。だってまず君がなす術無く逃げまどってるだけなのが理解できない。最初から最後まで絶対死ななさそうで安心して観られるなぁ!(それいいところ?)

そんなわけでただ逃げるしか出来ない「フツーのオヤジ」トムちんは、たまたま別れた嫁んトコから来てた反抗期息子とこまっしゃくれた娘を連れて、宇宙人から逃げる。トムちんなのはもう置いといて、意味もわからず逃げる、行き当たりばったりでパニックのすれすれ―――という普通の人描写はリアルだ。事実こんなことが起きたら、ほとんどの人はこうなるだろう。叫び、パニックになり、逃げまどい、うつろに歩く。どの状態に行くかはきっかけひとつでしかなくて、トムちんは息子と娘に対する愛情(なんだろうな…伝わってこないけど)と義務で、ニュージャージーから嫁が行ってるらしいボストンまで逃げるのだ。

またこの子供たちが可愛くな…失礼。娘を演じるダコタ様は、どう考えてもトムちんを食ってしまえる演技力の持ち主なのだが、今回はただ泣き叫ぶ女の子というだけ。彼女の魅力を生かしきれていないのは残念。事実友人は「あの娘うるさいだけだ」とウンザリした顔をしていた―――でも裏を返せば、それだけ「ただの女の子」を演じきったダコタ様がやはりすごいということか。とにかく彼女がアップになるたびに、ひきつけ起こしてぶっ倒れるんじゃないかとこっちはヒヤヒヤ。ある意味一番怖かった。
息子は今度『ドラゴンボール』で孫悟空を演じる子。しかし前述の友人とその話をしたとき、「ほら、『宇宙戦争』でトムの息子役演ってた子だよ!」と言ったら「…息子なんかいたっけ?」と超怪訝そうな顔をされたあの日の思い出。娘しか覚えてないのかキサマ。まあ記憶から排除したくなる気持ちはわかるが。
だって存在感もないまま、まあ褒めるところがあるとすれば妹思いのいいお兄ちゃんだなァ!ってくらいだった息子は、途中で[「最後まで見届けたい」]と世迷いごとを言って、トムちん一行から離れてしまうのだ。冴えないオヤジな親父に対して、年頃ゆえの反抗期なのはわかる。しかしあれはない。あれは使命感・敵への怒り・何も出来ないもどかしさ―――から来るものではなく(劇中「本人」はそう信じていたと思うが)単に現実逃避だ。父親と妹がお荷物だった彼は、宇宙人襲撃の事実からは逃れられないので、そちらに近づくことによってもうひとつの現実を排除した。何て言うか、諸々の都合とか吹っ飛ばして考えるならば、息子はあの時点で[爆発に巻き込まれてトムちんの目の前で死ぬべきだった]ように思うんだが…ひねくれてるかなぁ。まあ脚本上、息子がいなくても何の支障もないんだけどね!(笑顔)絶対[エンディングで出てきたとき]みんな存在忘れてたと思う。スピルバーグもエンディングなんかどうでもよかったんだと思う。

だってスティーブンが撮りたかったのは、絶対に襲撃部分だけだ。地面に太古から埋め込まれていた攻撃ロボ、トライポッドの造形はさすが。もうあれだけで許せる。山を越えてやって来る圧倒されるシルエットが、絶望的に美しい。あの不気味な動き、メタファーにもなってるか知らんが巨大な「眼」であるレンズ、そしてあの咆哮にも似た音!まったくもってスバラシイ。侵略映画たるもの、敵が不気味に美しくあるべきです。そして正しく原作を読んだときの心拍数が上がりまくる絶望感を表して、わかりやすく地獄絵図であるべきです。
初期の攻撃では人体だけが灰になって消えていくとってもクリーンな攻撃で、ああそうだよな血塗れ殺戮パラダイスにしちゃったら、後々自分達が住むときにお掃除が大変だもんな、と宇宙人が主婦であるかのような感想を抱いていたのだが、ちょっと画的には物足りなかった。しかしご安心あれ!(いや人類にとってはご安心どころじゃないんだが)中盤から宇宙人もつまらなくなったのか責任者が代わったのか、どんどんえげつない攻撃に変わっていく。キャトルミューティレーション(牛も倒れてたしな)のようにおぞましく血を吸い、地には血肉の花を散らす地獄絵図。スピルバーグのある意味真骨頂であり、きっと彼は戦争のおぞましさ、醜さ、すべての戦いは宇宙人の侵略と何ら変わりないんだ!って意味を込めているのだろう。スピルバーグが描こうとしたことは、実は『プライベート・ライアン』の上陸作戦シーンと何ら違いがないんじゃないだろうか。まあやっぱり見てる側には敵が宇宙人ってのは大違いなんだけど。(台無し)そしてここに力を入れすぎた分、絶対ここで満足しちゃってると思うんだけどスピルバーグ。

途中出会うティム・ロビンスは、ショーシャンクから逃げ出せなかったバージョンを見ているようでした。でもさすが上手い、狂気と正気の境目。いやむしろそのふたつに違いはあるんだろうか?彼は本当におかしいんだろうか?という疑問がわいて来るが、きっとその答えはイエスでありノーなのだ。ティムが演じた姿は、逃げまどうトムちんとはまた別バージョンの「観客である我々自身」で、きっとそこに違いはない。違いはないが、守るもの、立場、ほんのちょっとの違いがトムちんとティムの運命を分けた。
でも正直[殺されるほどのこと]をティムがしたとは到底思えない。残念なことに、あのシーンはトムちんの方が狂ってたように見える。その点穿ちすぎだが、メリケンだよなぁ。正義のためには暴力が許されるのだ。
どうせなら[ティムをもっと幼女性愛者的に描く]べきだったんじないか。露骨に。

しかしティムが教えてくれた大事なことは酒の味でもなくトンネルのことでもなく、大阪ではトライポッドが倒せた!ってことでした。しかも数体。すげぇよさすが大阪だよ。瞬時にして思いついた大阪の解決策はこのくらいです。

・道頓堀にトライポッドが落ちて浮かんでこなかった
・おばちゃんとヤ○ザが「いてまえー!」と突撃した
・トライポッドに品のない落書をして怒らせた
・でもって出てきた宇宙人をおばちゃんとヤ○ザが(以下略)

トウキョウでもなくコウベでもなく、やっぱり宇宙人と戦うならばオオサカだよね!さすがスピルバーグ、よくわかってらっしゃる!!すみません大阪の方を馬鹿にしているわけでは。
でも関西方面の知人が「絶対『まいど1号』とかわけのわからん武器を作って突撃したんだと思います」と含蓄のあるご意見を言っておられたので、やっぱり大阪はそういうポジションなんだろう。愛。

地下室での命を懸けたハイド・アンド・シーク~暗闇のかくれんぼはさすがの緊迫感。どこまで長いのか想像もつかない宇宙人ご用達の胃カメラがうねうねと這い回るシーンは、息を詰めてしまう。
一難去ってまた一難!と観客が息つく間もなく、地下室に満ちる不気味な気配。うごめく影。ああまさか宇宙人が!どうしよう―――!!

あれ黒柳徹子さんだ。

もしくはサザエさんそっくりなシルエット。今回の敵はスペース・サザエのようです。まあここで典型的グレイが出てきてもドン引きますが、ちょっと形変えればいいってもんじゃないのよスティーブンそこに座りなさい。いいですか宇宙人とは出てくるまでが怖いんであって、実際顔を出しちゃったら興醒めなんです!!そこんとこシャマラン君やエメリッヒ君にも伝えておきなさい!!
スピルバーグは、「敵の正体がわかるまでの緊迫感」がすごい。観客の不安と恐怖を煽るのがとてつもなく上手い。だからこそわかっちゃうとそこでがくんと落ちる。
いや、これはもう私の遺伝子に刻み込まれているので(何でだ)仕方ないのだが、侵略モノでは宇宙人が姿見せたらダメ・ゼッタイ。見えないからこその恐怖であり、見えたらただのイキモノですよ。ちょっと眼が大きくて口が尖っててウガウガ喋る意思疎通の出来ない人ってだけですよ。あ、後はちょっと武器が豪華。
少なくとも奴等が出てきた瞬間にオレの恐怖は過ぎ去ったよ。ていうか胃カメラ監視レンズにも言えることだけど、せめて熱探査機能をつけたらどうだね。音と視界だけ頼りに人間探すって、どんだけハンディつけてんだお前等。そんな紳士的精神はいらねぇ。奴等も奴等で、地上に降り立つんならそういう機能をつけたスカウターくらい持ってしかるべきだろうよ。どんだけ遠足気分だよ。

まあ、このツッコミからもおわかりのように、ストーリー的にはここらへんから破綻していくというか冗長化というか。いったん宇宙人が見えてからは、どんどん奴等のツメが甘くなっていくばかり。また責任者が代わったのか。
民間人に教えてもらわなきゃシールドが消えたことにも気づかん軍も軍だし、何千年見張ってたのか知らんがその間微生物の研究をすることを誰も思いつかなかったかわいそうな子の集まりであるスペース・サザエもサザエですよ。一番最初に検査するところでしょそれ!防御服着てるべきでしょ!!どんな映画だって地球人はそうしてるんだぞ!観ろよ映画くらい!!

というわけで原作にとっても忠実な始まりをした映画は、原作のオチを豪華映像で腰砕けに再現してくれたのでした、まる。正しく「え?え?…えええ?」という気分が味わえます。何たることだ。
そもそもオープニングからネタバレっちゃネタバレだし、ダコタ様の科白も露骨な伏線だしで、こうなることは避けられんのだろうが―――でもやっぱりあれはない。スペース・サザエに説教だ説教。
まあ、オチからして大阪で倒せた理由はやっぱり道頓堀なんだろうなと思います。偉大だなぁ道頓堀。

そしてトムちんはあの後[「さっすがーサンキューじゃあねー」で追い払われて]終わりなんだろうな。ちっともハッピーエンドじゃないよ!
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